熊本県の鏝絵
2002/2/14
写真撮影:2002/2/2
熊本県で現在知られている鏝絵(こてえ)は数が少ない。私は最近、玉名市や熊本市の嘉島町で発見した鏝絵や嘉島町の寺に残されていた大規模な、あまり知られていなかった鏝絵を訪ねることができましたので紹介します。 |
玉名郡横島町 県道1号沿いの民家の鏝絵 「大黒」 煙突の煙で大黒さんの顔は真っ黒!
家の古さから明治の鏝絵と考えられる。
熊本市嘉島町井寺の鏝絵がある民家 瑞雲と丸に八つ矢車家紋の鏝絵
熊本市嘉島町下六嘉 仏誓寺
お堂正面外壁前面に「牡丹に獅子」「雲に龍」「波に兎」の大規模な鏝絵。
本堂は明和4年(1767年)に建立されているが、
鏝絵の起源は江戸末期静岡県伊豆の松崎の左官、
入江長八からと言われているので、この鏝絵の制作
年代は明治ではないかと考えられるが明らかではない。
鏝絵全景 横幅:約10m
「牡丹に獅子」左面 右面
牡丹は中国では花王と呼ばれ、赤い花が最も尊ばれてきた。牡丹は種子では同じ赤い花が
出るとは限らないので接木で殖やしていた。このことから種から子を殖やせないので牡(おす)と
みなされ、牡丹と言われるようになったといわれる。
獅子は中国から伝わり、日本では獅子舞の本流元祖といわれる角兵衛が牡丹をもっとも
好んだといわれている。又、昭和55年の東大寺大仏殿落慶法要で伎楽が再現されたときも
赤獅子が牡丹の花をくわえて登場した。獅子は悪魔払いとしての機能も持ち、多くの神社で
参道の両側に一対の獅子が今でも見られる。
「雲に龍」左面 中央面 左面
龍は春分に天に昇り、秋分に淵に入るといわれ、雲を起こし、雨を降らせ、水に潜り、天に上るという
神霊はかりしれぬ動物であるとされ、中国ではおめでたい行事によく龍をかつぎ出すのも慈雨が足りて
農作物の豊作につながり、農民を喜ばすということからきているらしい。日本でも信仰の対象としての
龍は「水神」である。中国の漢時代には水田による稲作が行われ、水の神として龍を祭ることが行われ
ていた。竜神信仰は仏教を通じて進み、完成する。弘法大師が神泉苑で雨を祈り、龍神はそれを聞きいれて
雨を降らせたという話もあるし、弘法大師が築造した讃岐(香川県)の満能池にも龍が住んでいたという
話がある。
「波と兎」左面 右面
鏝絵の題材として十二支の動物では竜、虎、犬等と共にもっとも多くみられます。
日本では古くから「おとぎ話」にもよく登場する動物です。
兎は十二支を決めた際、お土産を忘れたので自ら火に身を投げるが、焼けなかったところから
火事から守る神となったともいわれる。また、波は火事から家を守る
水である。さらに兎は多産で安産な動物ということで犬と同じように考えられてきた。
記述資料:「消えゆく左官職人 鏝絵」藤田洋三著より引用
仏誓寺の本堂内部 内部全面の壁は極彩色の壁画が描かれている。
特に波紋や運紋は葛飾北斎の筆致を想わせるほど勢いがあり生き生きと表現されている。
平成10年本堂は修復工事 鏝絵は左官田中喜和男氏が修復
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